この日もいつもの時間に下校した。
平日の昼下がり、学校から家までは子供の速さでも、歩いて5分はかからない近さだった。
左には、数件の民家、右側は荒れ果てた崖の下の空き地が広がっていた。
横断歩道の脇のゴミ捨て場がいつも僕の目には入る。
誰も見向きもしないような景色に、僕は親しみを感じていた。
帰宅した僕はまず最初に、台所に向かう。
そこには、たまに、母からの手紙があったからだ。
なんでもない内容のメモのようなお手紙だ。
そこには、こんなことが書いてあった。
「母さんは、帰りが遅いから、冷蔵庫のものを食べておいてくださいね。」
青色のボールペンで書かれた文字は、所々がかすれていた。
僕はいわゆる鍵っ子だった。
家の鍵は僕のランドセルに紐で結びつけてあった。
僕は宿題もせず、目的もなく居間のテレビをつけるのが癖になっていた。
居間と和室の間の柱には、僕が小学生1年生からの身長を削り込んだ印が視線に入る。
僕は勝手に大きくなったかのような言動が小生意気な小学生だった。
家では母に甘え、学校ではよい子を装っていた。
僕はこの後も、このスタイルを貫いていくのであった。
あの出来事が起きるまでは。
つづく
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