出典「国立がん研究センターがん情報サービス」
子どもにもがんがあります。「小児がん」です。
「小児がん」はすべてが「希少がん」に該当します。
皆さんは、日本の小児がん医療において、有効な薬があるにもかかわらず、使うことができないという現状をご存じでしょうか?
日本では、成人を対象とした治験やがん遺伝子パネル検査※(合う薬があるかどうかを調べる検査)で小児にも効きそうな薬が見つかっても、子どもが参加できる治験自体が少ないため、チャンスさえ与えられていないのが現状です。
さらに、海外で承認されていながら、日本では承認されていない「未承認薬」や、海外で承認されている有効な薬剤が長らく日本で承認されない「ドラッグ・ラグ」で、薬が使えていたら、救えたかもしれない大切な子どもの命が失われています。
小児がんは 15 歳未満にみられるがんのことで、日本では年間 2000~2500人が発症しています。
1万人に1~1.5人という超希少がんですが、15歳以下の子どもの病気による死因では1位です。
小児がんの種類は多く,国際小児がん分類によると、主分類で12種類、小分類では47種類に分類される多種多様な希少がんです。
ここ数十年の医療の進歩により、以前は不治の病とされた小児がんも、血液腫瘍を中心に、現在では7~8割が治るようになってきました。
しかし、救い切れていないがんがあります。
特に、難治性の固形腫瘍(脳腫瘍、神経芽腫、骨肉腫など)については、欧米に比べ、新薬開発が進んでいないこともあり、5年生存率も伸び悩んでいます。
小児がんの薬剤開発が遅れている理由
患者数の多い、主な成人のがんに比べ、小児がんは、治療や薬剤の研究や開発が遅れています。
主な理由は・・・
製薬企業は、市場が小さく収益にならないので、開発に消極的である。
小児がんは、患者数が少ないために、公的な予算や研究費も少ない。
救えるはずの命が、このような悲しい理由で失われています。かけがえのない子どもの命を前にして、親には受け入れ難い現実です。
欧米でも以前は日本と同様の問題を抱えていましたが、成人と小児の薬を一緒に開発することが義務化されたことや、製薬会社に対する優遇措置(インセンティブ)が導入されたこと、そして、米国では2017年に小児がんの薬剤開発の計画を義務化する法律が成立したことにより、小児がんの薬剤開発が進み、治療の選択肢が大きく、増えています。
治療後の人生の方が長いのが、子どもの医療です。
成長過程での小児がん治療によって、後遺症や合併症を一生抱えてしまうこともあり、その障がいによる生きにくさは、治療後の人生を大きく左右します。
治療後の人生の方が長い子どもたちにとって、合併症を少なくする新薬が必要です。
特に、分子標的薬は、従来の抗がん剤に比べて、副作用や合併症が軽減できると言われています。
小児の治療にこそ、このような薬剤が必要なのではないでしょうか。
そして、薬の開発には、子ども用の適切な投与量や副作用についてのエビデンスの構築がとても重要です。
小児がん患者会ネットワークは日本でも小児がんの薬剤の開発が促進されるように、次のことを要望します!
小児がんの薬剤の治験や臨床試験を成人と並行して行うことを義務付ける法制度を整備してください。
海外で有効とされている小児がんの薬は、1日も早く国内で使えるように早期承認してください。
がん遺伝子パネル検査で効きそうな薬が見つかった場合には、小児がん患児に対しても最適な分子標的薬を使えるようにしてください。
日本で開発された薬は、1番最初に国内で使えるようにしてください。
日本では、成人を対象とした治験やがん遺伝子パネル検査※(合う薬があるかどうかを調べる検査)で小児にも効きそうな薬が見つかっても、子どもが参加できる治験自体が少ないため、チャンスさえ与えられていないのが現状です。
※)遺伝子パネル検査につきましては、がん情報サービスをご参照ください。
さらに、海外で承認されていながら、日本では承認されていない「未承認薬」や、海外で承認されている有効な薬剤が長らく日本で承認されない「ドラッグ・ラグ」で、薬が使えていたら、救えたかもしれない大切な子どもの命が失われているのです!
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