【絵本】マンタに乗った少年 原作

こちらの作品は、2024年、文芸社主催「絵本大賞」
において、応募した作品の原作です。

入賞は達成出来ませんでしたが、わたしにとって初めての作品となりました。

小児がんの子供たちに勇気を届ける作品を
お楽しみください

作家 ほっし校長

運動場をボールを追いかけて走っているまさくん

実は、生まれつき身体の弱かったまさくん

みんなと同じようにスポーツをやりたくて

スポーツ少年団に入ったまさくんは

ソフトボールをしていました

だけど

それは、長くは続かなかったのです

まさくんは明日、病院に入院することになったのです「どうして、僕が」 そんな気持ちになりました。だから、みんなに入院のことを言えなかったのです

「僕の病気は、治すのがとても難しいんだ。」「でもね、病気を治してまた戻ってくるよ。」


ほんとうは、みんなに、そう約束したかったのにまさくんは、心の中でひっそりと「みんな、サヨウナラ」と言った

まさくんは、病院のベッドに横になっていました

そして、心の中でいろんなことを考えていました。病気のことや将来のこと

まさくんは、とても不安だったからです「僕の病気は、もう治らないんだ。」「もう、みんなのもとには戻れない。」まさくんの目から涙がこぼれ落ちました

すると、その時

まさくんの心に、誰かからの声が語りかけるように聞こえてきました

「君の人生は君のものだよ

楽しいことも

大変なこともあるけれど

君が選んだ通りの道を

進んでいいんだよ」

その声は、まさくんにとても大切なことを伝えてくれました

「そうだ、僕の人生は僕のもの。僕の思う通りに生きよう。」

「僕、ほんとうは、この難しい病気を治して」「みんなのもとに、戻りたい。」

その声は、まさくんにとっての希望の光でした

まさくんは、心の中から不安が消えました

だけど、まさくんの身体に起きた病気はとても大きな波となって、家族のみんなをも巻き込んか「だ。

まさくんの家族にとって、とても大きな出来事になりました

まさくんだけじゃなく、お父さんやお母さんにとっても、ほんとうに大きな出来事に。

病院に入院して、しばらくしてからその病気の正体がわかりました

それは、治し方がわからないほど

難しい病気でした。

お父さんとお母さんは、とても心配になり

まさくんの病気のことで話し合い、もめてしまうこともありました。

まさくんは、もう気づいていました

この病気は、家族が一緒に、大きな出来事を乗り越えていくための物語だということを。

「僕はこの物語の主人公、家族のみんなで、この大きな波を乗り越えていくんだ」

「たとえ難しいことがあっても、僕の思う通りに生きていくんだ僕の人生だから」

「乗り越えられないことはないんだよ」

手術の前の日

まさくんは夢を見ていました

それは、まさくんが大海原を空高く飛ぶ夢でした

大きなマンタに乗って大空を飛んでいました

まさくんは明日、右足を手術します

そして、手術の日の朝をむかえました

まさくんは、心の中が不安でいっぱいでした

どこかに逃げたくなる気持ちがおさえきれないほどでした

まさくんの手術はお昼過ぎにはじまります。

看護婦さんが手術の準備をはじめました。

まさくんがベッドの上に立って、手術着に着替えた、その時でした

まさくんのベッドが、大きなマンタに変わりました

「あっ、僕が夢で見たマンタだ」

まさくんは興奮して、思わず叫びました。

「マンタ、僕をあの大海原の空に連れてって」

「行こう!行こう!」

すると、大きなマンタは少しずつ浮き上がり、飛び立とうとしています。

その様子に、周りの大人たちは驚き、目を丸くしています。

まさくんのお父さんもお母さんも、看護婦さんも執刀医の先生も、みんな、驚いて、腰を抜かしてしまいました。

「さぁ、マンタ、僕をあの大海原に連れていっておくれ」

すると、あっという間に大海原に到着しました

大きな海に、広く青い空

どこまでも続く海を、マンタに乗ったまさくんは飛んでいました

まさに、まさくんが見た夢とおんなじです。

まさくんは、思い出していました

「君の人生は君のものだよ楽しいことも大変なこともあるけれど君が選んだ通りの道を進んでいいんだよ」

まさくんは、気づきました

「そうだよ、病気から逃げてはいけない」「手術をうけるのは、とてもこわいけど」

「ちゃんと治療して、病気を治したら、本当の自由になれるんだ」

「逃げることは、僕の道ではない」

「僕、手術を受けてくるよ」

そう、マンタに語りかけるように話した。

「ねぇ、あの時、僕に語りかけた声は君だよね」

そうなのです

まさくんに大切なメッセージを伝えてくれたのは、マンタだったのです。

マンタは、その大きなからだを海にめがけて急降下させました

「わぁーーー」

海に突っ込んだ、その瞬間

まさくんは、病室のベッドの上に戻っていました

まさくんは、そこにいるみんなに大きな声で言葉を発しました

「僕、手術受けてくるよ!」

周りの大人たちは、驚き、そしてうなづきました。

「そうね、まさくん、手術応援してるよ」

「行ってらっしゃーい」

まさくんは、手術室移動用のベッドで、運ばれ

手術室へと入って行きました

その時、病室のベッドが少し浮いてゆらゆらとしながら、まさくんに手を振っていることには誰も気づいていませんでした

おしまい

【絵本】ガンと闘う10歳の僕におきた奇跡
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生き抜く力【ガンと闘う10歳の僕に起きた奇跡】|ほっし校長|note

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ほっし校長

10歳の時、100万人に1人の確率で発症の希少ガン(骨肉腫)を発症。
主治医からの、ガン告知と右足の切断と余命の宣告。自らの経験から、ガン患者さん、特に小児ガンの子供たちの心を世界中に伝えたい。

At the age of 10, one in one million people develops a rare cancer (osteosarcoma).
Cancer notification, amputation of right leg and life expectancy from the attending physician. From my own experience, I would like to convey the hearts of cancer patients, especially children with childhood cancer, to the world.

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