さようなら 僕の右足
僕は、今日、骨肉腫の手術を受ける。
僕の右足の付け根に発症した癌(ガン)細胞は、ものすごいスピードで増殖し、患部周辺に広がり、転移していた。
僕の下腹部は異常に腫れていた。
僕は身体の内部も、見た目も、醜い姿になっていた。
だから、手術で何とかするんだ。
僕の右足は、今日でお別れだ。
手術前に、主治医の先生に告知されていた。
「命を救うために」
「生き続けるために」
「右足とお別れしよう」
「癌(ガン)とお別れしよう」
今日の昼から、僕の手術の順番がくる。
僕は病室のベッドの上に立った。
【左足と右足で、しっかり立てた。】
【まだ、右足はしっかりしているのに】
【右足、まだ、使えるのに】
【右足とは今日でお別れだ】
【右足さん、今日までありがとう】
【もっと、労ってあげればよかった】
【さようなら】
僕は病室のベッドの上に立ち、手術用の衣服に着替えた。
病室のベッドの上から、病室の外の景色が見渡せた。
そして、心のなかで唱えた。
「よし、僕は癌(ガン)と闘って、
必ず勝ってみせる」
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