僕にはお母さんがいないんだ。
僕が小さい頃、はぐれたの。
僕はサーカス団のうさぎ。
周りの仲間はみんな優しくて仲良し。
サーカス団で僕の役はバイクアクロバットのうさぎ。
観客のみんなの人気の的なんだ。
僕はサーカスの公演が終わった。
これから半年間長い長いお休みに入るの。
そして僕は次の公演まで旅をする。
お休みの間はサーカス仲間、
サーカス団のエムと旅をする。
エムはサーカス団でピエロを演じている。
すごく愉快で可愛いんだ。
チータン行くよ。
うん。
次はどこに行くの?
チータンはどこ行きたい?
私はどこでもいいよ。
そうだな。南の国に行きたい。
わかった。
よし行こう。
チータンとエムは車に乗って出発した。
南の国のどこかにね。
ねえ、チータン、
チータンのお母さんとはどこではぐれたの?
どうして?
会いたい?うーん、わからない。
今はいい。
今は寂しくないから。
エムと一緒だから寂しくない。
そっか。
ありがとう。
エムは考えていました。
チータンは私と一緒にいることが本当に幸せなのかと。
今日はここで泊まるよ。
わあ、自然がいっぱいだ。
山もあるし川もある。
〈食事をするふたり〉
〈話がはずむ〉
そして、次の日も、
また、次の日も、
サーカス団のエムとチイタンの旅は続きます。
南の国に向かっていると、
チイタン!
エムが叫びかけました。
どうしたの?
大変、車の故障みたい。
えっ!、
修理する部品ないし。
チイタン、部品買ってきてくれる?
わかった、任せな。
チイタンはバイクを走らせ、
車の部品を買いに行きました。
待っててよ、エム。
チータンが無事、
車の部品を買ってエムの元へ戻りました。
チータンは疲れて寝ました。
そして目を覚ますと、
〈これは夢の中のストーリーです〉
チータンは夢の中にいました。
チータンが夢の中で目を覚ますと、
そこには広い広い草原が広がっていました。
青い空、
広い草原、
かわいい花々、
そして小鳥のさえずり。
チータンは不思議と心を穏やかになり、
草原の上で両手を両足を広げて、
大の字で空を見上げました。
さあ、空には大きな白い雲が、
何やらか、形を変えて変化している。
チータンが頭の中でサーカス団のことを思うと、
雲がサーカス小屋になる。
人参のことを考えると、
雲が大きな人参になりました。
そして、
大好きなタンポポの花も、
チータンは面白がって、
次のことを思い描いた。
その時、大きな雲が真っ黒に変わり、
ぐるぐるぐる動き出し、
何やら形に見えてきました。
チータンは少し怖くなりましたが、
その様子を見ていると、
その大きな黒い雲はウサギの顔に変わりました。
チータンはそのウサギのことを知りませんでした。
誰だろう?このウサギ。
チータンはずっと昔のことも
思い出そうとしていましたが、
そのウサギのことは思い出せませんでした。
すると再び大きな黒い雲は真っ白に変わり、
再び、何かの形に変化していきました。
次に大きな白い雲は
女性のウサギでした。
えーっと、えーっと、
あー、もしかして母ちゃん?
僕の母ちゃんでしょ。
チータンは、その雲の白いウサギを
じーっと見ていました。
するとその大きな白い雲は風にかき流され、
あっという間に消えて
なくなってしまいました。
あーっ、まだ消えないで。
母ちゃん!。
チータンはもう少し、
その白いウサギの顔を見たかったのですが、
その姿はあっという間に消えて、
見えなくなってしまいました。
あー、消えたよ。
でも、見たぞ。
僕の母ちゃんは、あんな顔してるんだ。
きれいで優しい顔のお母ちゃんだ。
会いたいな、会いたいな。
母ちゃんはどこにいるんだろう。
チータンは夢の中で、
夢の中で、深く深く、昔の記憶に入り、
だんだんと眠くなり、
そして、
すっかり寝てしまいました。
チイタン!チイタン!
チイタンが目を覚ますと、
そこには、エムがいました。
あー、エム。
チータン、どうしたの。
あー、夢を見ていたようだわ。
僕のお母ちゃんの夢。
えーっ、チイタン、会いたがってたじゃない。
そうなんだ、今でも会いたい。
日も暮れ、辺りはだんだん暗くなってきました。
あわてて二人は夕食の準備を始めました。
焚き付けた囲炉裏に当たりながら、
おいしい食事をしていると、
エムがボソッと一言。
ねえ、チイタン、
ん?
チイタンの母ちゃん、探しに行くか。
えっ、
えっ、いいの?
私には母ちゃんがいないからね。
会いたい気持ちわかるよ。
ありがとう。
よし、そう決めたら明日出発だ。
チータンの母ちゃんを探す旅。
旅の始まりだ。
行こう。
母ちゃんを見つけるぞ。
なんだかワクワクしてきた。
じゃあ、明日からの旅に備えてもう寝ようか。
チータンの旅はこれからだ。
本当の旅。
その旅の始まりは、
この後の絵本のお楽しみにね。
おしまい。
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生き抜く力【ガンと闘う10歳の僕に起きた奇跡】|ほっし校長|note
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