僕にはまだ、足が必要なんだって
手術直後、主治医(執刀医)の先生が、手術室から出てきて、僕の両親に説明をしていた。
「癌(ガン)の進行が早く、右足を残せるか否かのギリギリのところであった。
足に障害が残らないように、極力、内部組織を残すように処置したこと。」
先生の説明に、両親は安心した。
僕は、麻酔から覚めるまで手術室から出ることができなかったが、両親は、右足のことを早く、僕に伝えたかったことだろう。
僕の身体には、大きな手術の傷痕がある。しかし、見える傷痕よりも、見えない心の傷痕の方が遥かに大きく、深いものだった。
この癌(ガン)を発症したことで、僕の心には大きな傷が残ったが、それを遥かに上回る程の幸せが舞い込んできている。
消えることのない心の傷を持ち続け、残りの人生を歩む。
そして、僕には右足が奇跡的に残された。
この右足は、一度無くなった後で、神様が僕にプレゼントしてくれた一生の宝物だ。
僕は残りの人生の中で、この右足のお陰でできることを経験するはずだ。
それが、僕の人生の目的なんだ。
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