〖短編小説〗幸せの泉【小児がんサバイバーの私が描く物語】15話
病室のベッドの周りの人々
そのベッドには、手術後の僕が横たわっていた
「このまま、目が覚めないこと、あるんですか」
「いゃぁ、先生を呼んできます」
横たわる僕にはしっかり聞こえていた。
手術後の僕を見守る人々
しかし、僕は目を覚ますことができなかった
僕は逝ってしまったのか
僕には解らなかった
しかし、人々の声は聞こえた
みんなの姿もうっすらと見えた
「あの世からは、こんな感じなんだ、こんな感覚なんだ」
そう思った瞬間、僕はさっきとは全く違う場所にいた
そこは、薄暗く、静寂に包まれた森の中
僕はその狭い範囲の空をなんとか見つけ、見上げていた
次回に続く
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🔷短編小説執筆に至った背景
私は10歳の夏、小児がんを発症しました。今から40年も前のことでした。当時はまだ症例が少なく、100万人に1人の発症確率だとも言われていた希少癌で、骨肉腫という病名です。
発症した場合の生存確率も極めて低かったのです。
当時の私は、なす術のない状況に、
空想することが心地よく、唯一の希望の光になっていました。
🔷この世の中には、
「どんな難病も一瞬で治す魔法がないかな」
「癌を治すぬり薬はないかな」
「お薬だけで骨肉腫は治せないかな」
「一口飲むだけですべての難病を治す湧き水の泉はどこにあるかな」
「あればいいな」
「突然、届くといいな」
そんな空想に、自分の心を慰めていたものです。
「自分が癌になったなんて、嘘であって欲しい!」
「診断ミスであって欲しい!」
しかし、現実は厳しく、
確実に自分に向かってくるのです。
私が思うに、
🔷がんが治るというイメージを持つこと
🔷がんを治したいという希望を持ち続けること
などは、実際のがん治療に心理的な面で、良い効果を生み出すような感覚があります。
少なくとも、前向きな空想に入ることで、過度のストレスを緩和する働きを私は、幼少期に小児がんと闘っている時に、実体験した経験からお伝えしたい。
その効果を試すためにも、この短編小説の執筆を始めました。
🔷この短編小説は、定期連載しますが、皆様からの感想を募集いたします。
🔷毎回の投稿ページのお問い合わせフォームからご感想をお願いいたします。
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