〖短編小説〗幸せの泉【小児がんサバイバーの私が描く物語】14話
僕はこの世とのお別れ
頭の中に浮かんだ言葉が、なかなか消えなかった
僕は懐かしい田舎風景のずっと奥に向かい、いつしか小高い山を越えようとしていた
そこには、僕が知らない景色が広がっていた
僕は風に身を委ねながら、空を飛んでいた
「もう、仕方のないことなんだ」
「どうしょうも、ないんだ」
それは、あきらめというよりも、納得
自然の摂理に理解を示した感情だった
少し気分が楽になった気がした
もう、やっと、結論が出た
ガン発病から、ガン告知、
そして、手術
その全てが、とても辛く、苦しかった
だけど、その結論が早く下された
きっと神様は、僕が辛くしているのを見かねたのだろう
やっと、終わった
そっか、そうなのか
次回に続く
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🔷短編小説執筆に至った背景
私は10歳の夏、小児がんを発症しました。今から40年も前のことでした。当時はまだ症例が少なく、100万人に1人の発症確率だとも言われていた希少癌で、骨肉腫という病名です。
発症した場合の生存確率も極めて低かったのです。
当時の私は、なす術のない状況に、
空想することが心地よく、唯一の希望の光になっていました。
🔷この世の中には、
「どんな難病も一瞬で治す魔法がないかな」
「癌を治すぬり薬はないかな」
「お薬だけで骨肉腫は治せないかな」
「一口飲むだけですべての難病を治す湧き水の泉はどこにあるかな」
「あればいいな」
「突然、届くといいな」
そんな空想に、自分の心を慰めていたものです。
「自分が癌になったなんて、嘘であって欲しい!」
「診断ミスであって欲しい!」
しかし、現実は厳しく、
確実に自分に向かってくるのです。
私が思うに、
🔷がんが治るというイメージを持つこと
🔷がんを治したいという希望を持ち続けること
などは、実際のがん治療に心理的な面で、良い効果を生み出すような感覚があります。
少なくとも、前向きな空想に入ることで、過度のストレスを緩和する働きを私は、幼少期に小児がんと闘っている時に、実体験した経験からお伝えしたい。
その効果を試すためにも、この短編小説の執筆を始めました。
🔷この短編小説は、定期連載しますが、皆様からの感想を募集いたします。
🔷毎回の投稿ページのお問い合わせフォームからご感想をお願いいたします。
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