【絵本】魔法のキャンドル
文芸社 第27回 えほん大賞応募作品
作・絵 ほっし校長
ママ、
キャンドル持ってきたよ。
ひかりちゃん、ありがとう。
キャンドルの香りね、
とても癒されるの
なんだか身体も軽くなるわ
ママの病気、早く良くなるといいね
そうね、ひかりちゃんありがとう
ひかりちゃん、あなたもこっちにおいで
ひかりちゃん、
なあに
ひかりちゃん、魔法のキャンドルって
聞いたことある?
魔法のキャンドル?
聞いたことないよ
ひかりちゃん、魔法のキャンドルはね、
炎を灯すと、未来を映し出してくれるの
ママは、魔法のキャンドル灯したことあるの?
あるわ
一度だけね
ママの未来は、何が見えたの?
そうね、
病気が、治って、ひかりちゃんと
どこか素敵なところに旅行してる様子が見えたわ
わぁ、良かったね、ママ
うん、
ひかりちゃんのおかげよ
ありがとう
私も魔法のキャンドル
炎を灯して見たいな、
私の未来はどうなんだろ。
ひかりちゃんは、魔法のキャンドルのことが
気になってきました。
ある日、学校の帰りに、街角のキャンドルショップに
立ち寄りました
「キャンドルショップ」
あの、あの、
魔法のキャンドルありますか?
ありますよ。
ありますか?よかった。
お買い上げありがとうございました。
ひかりちゃんは、魔法のキャンドルを買いました。
魔法のキャンドルを買ったことは、ママには
内緒にしていました。
学校がお休みの時に、炎を灯してみよう
ひかりちゃんはワクワクしていました。
キャンドルに炎を灯して、
ママとの旅行の続きを見たいな
やっと、その日が来ました
ひかりちゃんは、ワクワクしながら
魔法のキャンドルに炎を灯しました
さぁ、楽しい景色を見せてね
キャンドルの炎に照らされた空間に
未来の映像が浮かび上がって来ました
わぁ、見えてきた
しかし、そこに見えたものは
ひとりのひかりちゃんでした。
あれっ、ママはどこにいるの?
ママは?
どこ?
どれだけ見ても、そこには、ひかりちゃんひとりしか映し出されませんでした
ひかりちゃんは、少し不安な気持ちになりました
そして、なんだか涙が溢れてきて、
涙が止まらなくなりました。
ママ、もしかして
ひかりちゃんは、魔法のキャンドルに炎を灯したことを
後悔していました
ひかりちゃん、どうしたの、泣いたの?
ママはひかりちゃんが落ち込んでいることが、
心配になりました
ママ、私
なぁに?
わたし見たの。
魔法のキャンドルで未来を見たの
えっ、ひかりちゃん
ママはひかりちゃんを悲しい眼差しで見つめ、
ひかりちゃん、何を見たの?
あのね、炎に、見えたのは、わたしだけだったの
ママとの旅行の、続きを見たかったのに
あー、そうだったのね
ひかりちゃん、ごめんね
旅行の話は嘘なの
ママが見たのは、
ママは少し声を詰まらせながら、
ママは、もうすぐ天国に行くのよ
ママが見たのは、天国に行った後の様子だったの
ひかりちゃん、良く聞いて
ママは、少し早く天国に旅立つのよ
でもね、寂しいことではないのよ、
だってね、
天国では、ひかりちゃんの姿が良く見えてたもの
いつもそばにいるように感じたわ
ひかりちゃん、ママはまもなく旅立つけど、
いつもひかりちゃんのそばにいるのよ
そしてね、
ママが天国に旅立った後、
もう一度魔法のキャンドルに炎を灯して
見てごらん
きっと、そこには、
ママとひかりちゃんがいっしょに旅行してる様子が見えるわよ
ひかりちゃんとママはいつもいっしょよ
寂しくなったら、いつでも会えるわ
魔法のキャンドルに炎を灯してね
いつもいっしょよ
おしまい
絵本作家 ほっし校長
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生き抜く力【ガンと闘う10歳の僕に起きた奇跡】|ほっし校長|note
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