死への恐怖と足を失うことの恐れ
11月1日 発売の電子書籍「生き抜く力」(ガンと闘う10歳の僕に起きた奇跡)からの1節
゛私は明日、手術を受ける。主治医の院長先生自らが執刀してくださることになった。前例のない手術。患部を切開して、手の施しようのない場合は、そのまま閉じる。患部が処置可能な場合は、切除するが、右足を切断する可能性が高い。ガン転移の可能性もあり、明日は私の運命が大きく決まるときだ。゛
僕は、逃れられない、その運命のなかの小さな箱に閉じ込められていた。
なのに
この病を発症した私の存在を知った方が、こう言った。
「足がなくなったとしても、命が残ればよしと思えるね」「そう考えたらいいよ」
それを聞かされ、
僕は、悔しかった。とっても小さな箱に閉じ込められた僕は、全く身動きができない状態と同じ。
心が拘束されたような息苦しさを感じながら、その言われたことばに、必死で抵抗した。
僕の、詰まって全く声にならない声を必死で出そうと、もがいていた。
僕は、今でも、
「足も、命も残したいんだ」
「どっちかを諦めるなんてできない」
僕の心の叫び声は、誰かに届いたのだろうか
しばらくすると、力の入った僕の肩の力は和らぎ、
不思議と、空しさはなく、少し爽やかな風が、僕の周りを通りすぎていったのだった。
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