〖短編小説〗幸せの泉【小児がんサバイバーの私が描く物語】9話
「僕はどこに向かっているのだろうか」
そう、何度か思ったとき、
僕にははっきり見えた。
その青い、しかし、緑のような青色のような、光輝くその海原が、
はっきり見えた
「セルリアンブルー」
そう、セルリアンブルーだった
僕が初めて好きになった色
僕にとって、セルリアンブルーの色には特別の思い出があった
しかし、なぜ、
きっと、僕は、セルリアンブルーの海原に向かって飛んでいるのだろう
僕はとても安心な気持ちに包まれた
僕は幸せを感じていた
次回に続く
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短編小説執筆に至った背景
私は10歳の夏、小児がんを発症しました。今から40年も前のことでした。当時はまだ症例が少なく、100万人に1人の発症確率だとも言われていた希少癌で、骨肉腫という病名です。
発症した場合の生存確率も極めて低かったのです。
当時の私は、なす術のない状況に、
空想することが心地よく、唯一の希望の光になっていました。
この世の中には、
「どんな難病も一瞬で治す魔法がないかな」
「癌を治すぬり薬はないかな」
「お薬だけで骨肉腫は治せないかな」
「一口飲むだけですべての難病を治す湧き水の泉はどこにあるかな」
「あればいいな」
「突然、届くといいな」
そんな空想に、自分の心を慰めていたものです。
「自分が癌になったなんて、嘘であって欲しい!」
「診断ミスであって欲しい!」
しかし、現実は厳しく、
確実に自分に向かってくるのです。
私が思うに、
がんが治るというイメージを持つこと
がんを治したいという希望を持ち続けること
などは、実際のがん治療に心理的な面で、良い効果を生み出すような感覚があります。
少なくとも、前向きな空想に入ることで、過度のストレスを緩和する働きを私は、幼少期に小児がんと闘っている時に、実体験した経験からお伝えしたい。
その効果を試すためにも、この短編小説の執筆を始めました。
この短編小説は、定期連載しますが、皆様からの感想を募集いたします。
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