ほっし校長 【告白】右足切断を宣告された手術 〖病室から出るときの心境〗
右足切断を宣告された私の、心の叫びを告白します。
「僕は諦めない。必ず癌を治療してみせる！」
周りの皆が、望み安心できる言葉を、私は最後まで言えなかった。
だけど、諦めたくなかった。
癌細胞に侵された右足付け根の患部。
私が発症した癌は、骨肉腫と言って骨の中に発症する癌の種類で、とても症例の少ない癌だった。
骨の中に発症した癌の場合、容易に切除することができないため、患部を含む広範囲を除去する必要があった。
手術も大がかりな内容になり、私の場合には、右足を切断する準備がされていた。
私は手術室に向かう直前、病室のベッドの上に両足で立ち、手術衣に着替えていた。
「僕にはまだ、右足が付いている。」
しかし、手術後には無くなっているかもしれない。
私は、少し前まで強気でいたが、胸の内から急に、不安と恐怖が押し寄せてきた。
右足から全身に、鳥肌が伝わり、体が硬直した。
手術助手の先生が、病室に私を迎えに来てくれた。
「そろそろ、行こうか」
私は、手術室に移動するためのベッドに横になった。
手術室に移動するためのベッドは、とても固くそして、冷たく感じた。
その冷たさを感じると同時に、一瞬、私の頭の中に、何らかの言葉が過った。
「…」
しかし、その言葉をはっきりと認識できなかった。
そして、その言葉に反応し、少し身体を起き上がらせて、ふと、私の右足の方を覗き込んだ。
「まだ、僕の右足が付いている。」
このまま手術室に向かえば、右足がなくなるかもしれない。
だけど、
「もしも、今からこの場を逃げ出したら、右足は残る。」
「まだ、間に合う！」
私は、右足を失いたくなかった。
「諦められないんだ。」
「だって、生まれてから、まだ、10年しか、この足を使ってないのに。」
私は、涙をぐっと堪えて、心のなかで泣いた。
手術室に移動するベッドに横たわる僕の周りには、大勢の大人の人がいたが、
そんな僕の感情に気づく人はいなかったのだろう。
そして、
僕を載せた手術室への移動用ベッドは病室の外へ運び出されて行った。
結局、私は逃げ出さなかった
いや、逃げる勇気がなかっただけだ。
しかし、
最後は、自分の心に正直になれた。
移動用のベッドの上に横になり、廊下の天井を見上げながら、
【覚悟】した
その瞬間に、
「右足を失くしたくない！」という言葉は、
どこか遠くに飛ばされて見失った。
それと入れ替わるように、
「もっと生き続けたい」
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これが、麻酔で眠る直前の10歳、最後の心の言葉だった
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