〖短編小説〗幸せの泉【小児がんサバイバーの私が描く物語】13話
どこまでも、のどかな田舎風景
とても懐かしい風景だった
小さな小川で遊び、
細い畦道を自転車でふらふらしながら
走り抜けたときの、田んぼのにおいが懐かしく
思い出された
そこには、子供の頃に遊んだ仲間の姿が
かげろうのようにうかんでいた
「一緒に、あそぼう!」
学校から帰宅したと同時くらいに、友達の声がした
僕は夢中で遊んだ
毎日、一生懸命に遊んだ
その頃の映像が正確に再現された
「僕はこの世と、もう、お別れなのかな」
自然に頭の中に、この言葉が浮かんだ
次回に続く
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🔷短編小説執筆に至った背景
私は10歳の夏、小児がんを発症しました。今から40年も前のことでした。当時はまだ症例が少なく、100万人に1人の発症確率だとも言われていた希少癌で、骨肉腫という病名です。
発症した場合の生存確率も極めて低かったのです。
当時の私は、なす術のない状況に、
空想することが心地よく、唯一の希望の光になっていました。
🔷この世の中には、
「どんな難病も一瞬で治す魔法がないかな」
「癌を治すぬり薬はないかな」
「お薬だけで骨肉腫は治せないかな」
「一口飲むだけですべての難病を治す湧き水の泉はどこにあるかな」
「あればいいな」
「突然、届くといいな」
そんな空想に、自分の心を慰めていたものです。
「自分が癌になったなんて、嘘であって欲しい!」
「診断ミスであって欲しい!」
しかし、現実は厳しく、
確実に自分に向かってくるのです。
私が思うに、
🔷がんが治るというイメージを持つこと
🔷がんを治したいという希望を持ち続けること
などは、実際のがん治療に心理的な面で、良い効果を生み出すような感覚があります。
少なくとも、前向きな空想に入ることで、過度のストレスを緩和する働きを私は、幼少期に小児がんと闘っている時に、実体験した経験からお伝えしたい。
その効果を試すためにも、この短編小説の執筆を始めました。
🔷この短編小説は、定期連載しますが、皆様からの感想を募集いたします。
🔷毎回の投稿ページのお問い合わせフォームからご感想をお願いいたします。
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