僕が家庭の平和を壊した日から43年目の夏
【目的の地への到着】
今、新幹線で目的地に向かっている
あのときのことを言葉にするために
あの時、僕が心で叫んでいた言葉を確認するために
そして、
今回、目的の場所に、なぜだか引き付けられた
僕が小児がんを発症したときは、広島に住んでいた
しかし、
今から向かう場所は、全く別の場所だ
もう間もなく、到着する
次の駅が目的の場所だ
少しだけ気分が高揚してきた
朝食を取っていないからか、
身体がシートに沈み込んで、いつになく落ち着いていたが、すこし緊張も感じていた
複雑な心境だ
きっと、これから明らかになる自らのルーツ
ルーツを明らかにする言葉を知ることに対して、すこし照れくささを感じているのかもしれない
目的地に着いた
その地は軽井沢だった
第二の故郷
不思議と緊張感はなかった
ここなら素直な言葉が引き出せそうな感じがした
軽井沢の駅前には、象徴的な大樹がそびえ立っている
その大樹を越える大きさの木々が樹勢する森に向かうことにした
その森の中には一本の道がまっすぐ通っており、その両側には、別荘が建てられている
しかし、生活の雰囲気を感じるような物音は、一切聞こえず、
耳に入ってくるのは、森の木々の風に揺れる音や小鳥のさえずり
やっとこの地に着いた!
そう思える瞬間をここで感じた
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