【ほっし校長オリジナル絵本】ヤエさんと黒い子猫 第一章

黒い子猫

【ほっし校長オリジナル絵本】

ヤエさんと黒い子猫 第一章

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サブスク限定特典

黒い子猫
ヤエさんと黒い子猫

繁華街の雑踏

震える子猫を見つけた

ヤエさんは、

この繁華街の一角に住居を構える

訪問介護師

仕事を終えて帰宅するのは

いつも深夜の時間帯だった

なぜか不思議なことに、

いつも通る道から外れた脇道を

通ってみようと思った

ビルの谷間には、

人気がなく消えかかった街灯が

チカチカ点滅していた

ヤエさんは何かの気配に気がついた

街灯の鉄柱の裏にそれが潜んでいた

真っ黒い子猫だった

全身が雨に濡れた子猫は

ガクガクと

音を立てるかのように震えていた

ヤエさんは子猫を両手で優しくつまみ上げた

固く硬直した身体は

とても冷たくすでに息絶えたようにも思えた

子猫を抱きかかえ、

その場を立ち去ろうとした

その瞬間

ピカッ!ドガン!

大きな衝撃が

ヤエさんの身体に走った

気か付くと

ヤエさんの手から先ほどの子猫は姿を消していた

それから、

どのくらいの時間が経ったのだろう

ヤエさんは、

そのまま家に帰宅した

その日は何事もなかったかのように

過ごした

ある日、

ヤエさんはいつものように

職場に出掛けた。

その日も介護の仕事で

ぎっしりとスケジュールを組まれていた。

ヤエさんは

ひとりのおばあさんの自宅に

訪問介護にまわった。

「イタタタタ。」

「イタタタタ。」

おばあさんは膝を悪くし、

寝たきりに

もうずいぶんと歩いていなかった

不意に立ち上がろうとして、

膝の痛みに悲鳴を上げた

ヤエさんは

おばあさんを抱き抱えるようにして

ベッドに運んだ

「おばあさん、何処痛いの?」

「ここ?」

そう言うと、

ヤエさんは、

おばあさんの痛めた膝をさすった

おばあさんは、

気持ち良さそうに眠りについた

訪問介護を終えたヤエさんは

家に帰宅しようと

繁華街を歩いていた

ふと、昔のことを思い出した

「あの子猫はどうしたのかしら」

帰宅したヤエさんの携帯に

一件の電話が入っていることに気がついた

「あの、おばあさんだわ」

「どうしたのかしら」

ヤエさんは慌てて、

おばあさんに電話をかけた

「プルプル🎵プルプル🎵」

「あー、あんたね」

「わたしね、歩けるようになったんよ」

「さっき起きたら、急にね」

「歩けるようになったんよ」

ヤエさんは言葉を失った

半信半疑のヤエさんは、

繰り返し、おばあさんに聞いた

それでも

「歩けるようになったんよ」

「あんたね、私の膝をさすってくれたよね」

ヤエさんがさすった、

おばあさんの痛めた膝は

完治したのだ

ヤエさんは思い出していた

あの、震えた子猫のことを

つづく

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ほっし校長

10歳の時、100万人に1人の確率で発症の希少ガン(骨肉腫)を発症。
主治医からの、ガン告知と右足の切断と余命の宣告。自らの経験から、ガン患者さん、特に小児ガンの子供たちの心を世界中に伝えたい。

At the age of 10, one in one million people develops a rare cancer (osteosarcoma).
Cancer notification, amputation of right leg and life expectancy from the attending physician. From my own experience, I would like to convey the hearts of cancer patients, especially children with childhood cancer, to the world.

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